ヘイジーIPAとは?人気の秘密やオススメビールを紹介します

ヘイジーIPAとは?人気の秘密やオススメビールを紹介します

熊倉
熊倉

こんにちは!
モルトとホップ、どっちが大事なの?と言われたら困ってしまうCRAFT BEER TIMES編集部の熊倉です。

みなさん、今流行ってるクラフトビールといえば何が思い浮かびますか?
もちろん色々あるとは思いますが、なんといってもヘイジーIPAは外せないでしょう!

  • IPAなのに苦味のないソフトな味わい
  • ホップの爆発的なフレーバー
  • 向こう側が見えないほどの液体の濁り

このような特徴を持つヘイジーIPAは、既存のビールファンはもちろん、クラフトビール初心者でさえも魅了しています。

今回はそんな比較的新しいビアスタイルであるヘイジーIPAの人気の秘密について解き明かして行きたいと思います!

感覚でわかる美味しさと、理屈でわかる美味しさはまた別です。

ぜひ知って美味しいクラフトビールの世界をお楽しみください!

ヘイジーIPAとは?

ヘイジーIPAとは、IPA(インディアン・ペールエール)の派生スタイルのうちの1つです。

このビアスタイルの大きな特徴は、非常に華やかなホップの香りとジューシーな味わい、そして濁りのある外観です。

このビアスタイルは、2016年頃にアメリカ北東部のニューイングランド地方で生まれたとされています。

これまで流行していたクリーンな琥珀色の外観と強い苦みが特徴のウエストコースト・IPAとは対照的な新たなこのIPAは、アメリカのみならず世界中の人々を熱狂させることになりました。

「ヘイジーIPA」の名称は、ビールの見た目が濁っている(=ヘイジー)ことから名付けられています。
他にもいくつか呼び名があり、発祥地に由来して「ニューイングランドIPA」や「ノースコーストIPA」、味わいの特徴から「ジューシーIPA」などと呼ばれることもあります。

ヘイジーIPAの特徴とその秘密

ヘイジーIPAは、現代のクラフトビールブームにおいて非常に人気の高いビアスタイルです。

そんなヘイジーIPAの人気の秘密を大きく3つに分けてまとめてみました。
それぞれの特長は相互に深く関わり合っているので、その関係性にも注目です!

特徴1. 濁った外観

濁った外観

ヘイジーIPAの濁った外観は、初めて見た人に大きなインパクトを与えます。
大抵のヘイジーIPAは、グラスの向こう側が見えないほどの濁りを持っています。

ピルスナーやゴールデンエールのようなクリアな黄金色こそがビールであると考えている人にとっては、この濁りっぷりはカルチャーショックとも言えるでしょう。

では、なぜヘイジーIPAは濁っているのか?
それにはいくつか理由があるのですが、大きく挙げられるものは以下の3つです。

ホップに含まれるポリフェノール

シトラスやトロピカルフルーツの香りが豊かであることからわかるように、ヘイジーIPAには大量のホップが使われています。

ホップには苦味や香りの成分の他に、ポリフェノールが含まれています。
このポリフェノールは、ビールの麦芽由来の成分の1つであるタンパク質と結びつきやすい性質を持っており、これらが結合することによって濁りが生まれます。

2つの小さなものが合体して大きくなる=見えやすくなって濁りのもととなる、みたいなイメージです!

麦芽に含まれるタンパク質

ヘイジーIPAには小麦やオーツ麦が使われることがほとんどです。
これらの麦芽は大麦と比べてタンパク質を多く含んでいます。

前述した通り、この麦芽の持つタンパク質がホップの持つポリフェノールと結合することで、濁りを生み出しているのです。

タンパク質自体も比較的大きめの成分なのでビールに濁りを与えるのですが、これがポリフェノールと結びつくとさらに大きな成分となります。

また、小麦やオーツ麦を使用したビールは、トロっとした口当たりを感じるものが多いです。
ヴァイツェンやベルジャンホワイトなどの白ビールを飲んだことがある方はイメージしやすいかと思います。これらのビールに柔らかい舌触りを感じたことはありませんか?

ヘイジーIPAにはマンゴーや桃、パッションフルーツなどのホップのトロピカルなフレーバーが含まれます。
この香りに柔らかな食感が加わることで、その豊かな甘い果実の香りがよりイキイキしたものとなります。そのため、ヘイジーIPAには小麦やオーツ麦が使われることが多いのです。

酵母

酵母はビールに濁りを与える大きな要因のうちの一つです。
「無濾過ビールは濁りがある」というのは、無濾過という言葉の意味からなんとなく理解できますよね?

酵母はビールの中でも特に大きい成分です。
ビールの発酵に使われる糖分と比較すると、約1万倍の大きさになるとされています。

酵母は発酵を終えると底の方へとと沈殿していきますので、酵母入りのビールは開栓前に優しく混ぜることで酵母が舞い上がり、濁りが生まれます。

特徴2. IPAなのに苦くない

ヘイジーIPAは、従来のIPAと比べても苦味の指標であるIBUが格段に低いです。
IBUを比較してみると以下の通りになります。

ビアスタイルIBU
ピルスナー20~30
ヘイジーIPA20~30
ペールエール20~40
アメリカンIPA40~60

このように、一般的なアメリカンIPAには強い苦味があるのに対して、ヘイジーIPAは明らかに苦みが低いです。

ヘイジーIPAは、「IPA」の名の通り大量のホップが使われたビールです。
それなのになんで苦くないの?という疑問が生まれるかと思います。
実はその理由はホップの使い方にあるのです。

通常のビールでは、ホップは麦芽の汁と一緒に高温で煮込まれます。ホップの中にある苦味の元となる成分は、高温で加熱することによって爽やかな苦味へと変化するのです。

このようにしてホップの苦味はビールに移っていくのですが、ヘイジーIPAではこの通常のホップの使い方を全くしない、もしくは極わずかしか行いません。

ヘイジーIPAではドライホッピングという手法が取り入れられています。
ホップをビールの発酵中の段階で投入する手法で、ホップを高温化に置かないため苦味の生成を抑えることができるのです。

苦味が出ないということがひとつの特長ではありますが、ドライホッピングの最大のメリットは次に説明するホップの香りにあります。

特徴3. ホップの強い香り

ヘイジーIPAに感じる魅惑的なシトラスとトロピカルフルーツの香りは、大量のホップによって生み出されます。
この他にはない爆発的なホップの香りも、ドライホッピングの技術がカギとなるのです。

ホップの香り成分は、高熱によって揮発してしまいます。
そのため、麦汁の煮沸段階で投入されたホップの香りは、そのほとんどがビールの外へと飛んでいってしまうのです。

ドライホッピングではビールの発酵中にホップを投入します。
この間のビールの温度は高くても25℃程度なので、ホップの香りを存分にビールの中に残すことができます。
また、発酵中の酵母がホップの香り成分を変換し、全く新たな香りを生み出すという効果もあります。
このドライホッピングによるホップの香りの変換が、ヘイジーIPAを特徴づけています。

ヘイジーIPAによく使われるホップについて

ヘイジーIPAの豊かなフルーツの香りは、主にホップの品種改良が盛んなアメリカ産のホップが生み出しています。
また、ホップの新たな産地として注目を集めているオーストラリア、ニュージーランドなどのニューワールドと呼ばれる産地のホップもヘイジーIPAによく使われています。

ヘイジーIPAによく使われる代表的なホップとその香りについてを以下にまとめてみました。
ホップの特徴をビールの中から感じられるようになると、もっとIPAが楽しくなりますよ!

アメリカ産ホップ
ホップの種類香り
シトラグレープフルーツ、メロン、ベリー、パッションフルーツ
モザイクタンジェリン、薔薇、パパイヤ、風船ガム
シムコーパッションフルーツ、松、大地
アマリロ強いオレンジ、グレープフルーツ、アプリコット
ニューワールド産ホップ
ホップの種類香り
ギャラクシーパッションフルーツ、シトラス
ネルソン・ソービニヨン白ワイン、ライチ、ベリー
モトゥエカモヒート、メロン

CRAFT BEER TIMES編集部が選ぶオススメのヘイジーIPA

ここまでヘイジーIPAについて解説をしてきました。
それでは最後にCRAFT BEER TIMES編集部オススメのヘイジーIPAをご紹介していきたいと思います!是非チェックしてみてください!

うちゅうブルーイング 宇宙SENSEI

国内のヘイジーIPAブームの起爆剤となったのが「うちゅうブルーイング」がリリースするビールです。
その人気は現在も衰え知らずで、リリースされるビールのほぼ全てが濁りのあるホッピーなスタイル。
この宇宙SENSEIは大量のホップとオーツ麦に加えて乳糖も使われており、ジューシーでミルキーな味わいとなっています。

伊勢角屋麦酒 NE IPA ねこにひき

伊勢角屋ビール NE IPA ねこにひき [330ml] [伊勢角屋麦酒] [三重] NE IPA Neko Nihiki / ISE KADOYA BREWERY

三重県の伊勢角屋麦酒がアメリカのカルミネーションブルーイングとコラボして誕生したビールです。
2016年というヘイジービールブームの初期に国内で造られたIPAで、ジュースのようなトロピカルフレーバーと滑らかで苦味を抑えた口当たりは瞬く間に大きな反響を呼びました。
ビールの名前になった「ねこにひき」とは、お互いのブルワーの猫好きという共通点から名づけられたそうです。パッケージの2匹の猫の写真は、それぞれの愛猫だそうです。

ニューベルジャン ブードゥーレンジャー ジューシーヘイズIPA

アメリカのニューベルジャンが展開する「ブードゥーレンジャー」シリーズのヘイジーIPAです。
強烈なシトラスとトロピカルフレーバーが感じられ、あっさりと心地よい飲みやすさがあります。
ヘイジーIPAの中では入手しやすい銘柄のうちのひとつかと思われますので、気になる方はぜひ!

リビジョン プラネタリーフォグ

アメリカの新進気鋭ブルワリー・リヴィジョンのヘイジーIPAです。
彼らはヘイジーIPAを得意のビールとしており、多くの熱狂的なファンを持っています。
濁りのあるオレンジ色の外観と、大量のアメリカンホップからくる爆発的なフルーツや松の香りが特長的なビールです。

ベルチングビーバー デジタルバスIPA

アメリカのロックバンド「デフトーンズ」とのコラボで生まれたベルチングビーバーのヘイジーIPAです。
アメリカ産・オーストラリア産・ニュージーランド産の5種類のアロマホップがふんだんに使われており、柑橘や松、トロピカルのみずみずしい香りがたまりません!

ミッケラー ヘンリー&サリーIPA

デンマークの大人気ブルワリー、ミッケラーが造るヘイジーIPAです。
表記はIPAですが、しっかりと濁りのある外観とシトラス、トロピカルの香りがあり、ヘイジーIPAらしいジューシーな味わいがあります。
独特の北欧チックなお洒落なパッケージにも注目です!

まとめ

以上、今をときめく大人気ビアスタイル・ヘイジーIPAの解説をさせていただきました。

下記3点が覚えておいてほしい重要なポイントです。

  • ヘイジーIPAはホップの香りがたくさん詰まっている
  • ビールが濁っているのは大量のホップと小麦やオーツ麦が使われているから
  • ドライホッピングというホップの香りだけを引き出す方法が使われている

少しでもヘイジーIPAの魅力が伝わったのであれば幸いです。

濁りやホップの香りについて理解が深まれば、ヘイジーIPAの美味しさをより楽しむことができると思います!

「このヘイジーはしっかりドライホップされてるね〜」
「オーツ麦のスムースな口当たりがいいね」
「ホップはシトラとギャラクシーを使ってるのかな?」

なんていう風に友達の前でカッコつけることができるかも?(笑)
あんまりやりすぎると嫌がられるので、クリーンな感じでやってくださいね。
でもビールはヘイジーでいきましょう!

熊倉
この記事を書いた人
熊倉
1993年生まれ、酒屋勤務、新潟市在住。いろいろお酒を飲むけどいつもビールに戻ってくる。セッションIPAを水筒に入れて持ち歩きたい。大衆酒場が好き。
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