人気のホップ品種&ホップが特徴的なクラフトビール10選

人気のホップ品種&ホップが特徴的なクラフトビール10選

こんにちは!
自家栽培のホップがニョキニョキと新芽を伸ばし、春の訪れを感じているCRAFT BEER TIMES編集部の熊倉です。

突然ですが、あなたはホップが効いたビールはお好きですか?
そしてビールを飲むときに、ホップの品種で何を飲むか選ぶことはありますでしょうか?

世界には100種を超えるホップ品種があり、どんな香りがするのか・苦味はどれくらい強いのかそれぞれ個性が分かれます。

クラフトビールブームによってホップに大きな注目が集まったことからホップの品種開発はどんどん進み、それによってビールの多様性もさらに広がりつつあります。

ということで今回の記事では、クラフトビールで特に人気のホップ品種についてご紹介していきたいと思います。

ホップについてもっと詳しくなりたい、ホップの品種をたくさん知りたいと言う方はぜひ最後までご覧ください!

ホップとは?

ホップとはビールに香りと苦味を与える原材料です。

別名「毱花(きゅうか)」とも呼ばれるホップは、緑色の小さな松ぼっくりのような形をしており、ヨーロッパやアメリカ、オセアニアなど世界各地で栽培されています。

日本でもホップは栽培されており、ホップは比較的冷涼な地域を好むため東北や北海道などが主な産地となっています。

ホップが多く使われるIPAなどのビールには魅惑的な香りや心地の良い苦味がありますが、どんなホップの品種を使うかによってそのビールの個性は大きく変化します。

クラフトビールの世界ではこのホップの品種に注目が集まっており、ホップの品種で飲むビールを決めるという選び方も広がり始めました。

ちなみに、ホップには香りと苦味を与える以外にも様々な効果をビールにもたらします。

ホップの基本については下記の記事でも詳しく解説していますので、気になる方はチェックしてみてください。

ホップの産地

ホップは世界各地に産地があり、それぞれ個性的な品種が栽培されています。

ヨーロッパ

ドイツ・イギリス・ベルギー・チェコなどを含むヨーロッパはビールの伝統国であり、そこで栽培されるホップも伝統的な品種になります。

ヨーロッパ産のホップは全体として花やハーブ、スパイス、そして大地を思わせるような落ち着きのある香りが特徴です。
苦味の強さは中程度で、ビールの麦の風味と良いバランス関係を作ります。

特に「ノーブルホップ」と呼ばれる雑味のない上品な香りの品種は、飲みやすさが特徴のドイツやチェコのラガー、イギリスのエールなどと相性抜群です。

ちなみにノーブルホップとは、ドイツで栽培されるテトナング・スパルト・ハラタウ、チェコのザーツの4種類を指します。

アメリカ

世界にクラフトビールブームを巻き起こしたのはアメリカ産のホップだと言っても過言ではないでしょう。

アメリカ産のホップは苦味の成分であるα酸の含有量が高く、香りの成分が非常に多様であるところが特徴です。

特に香りは、グレープフルーツやオレンジ、松ヤニ、パッションフルーツ、マンゴー、ライチなどと、思わずうっとりしてしまうような魅惑的なフレーバーに溢れています。

現在世界的に流行しているアメリカンペールエールやアメリカンIPAは、その原材料である個性的なアメリカンホップに秘密があります。

アメリカのホップ産地はクラフトビールのメッカでもある西海岸に集中しており、カリフォルニア州・ワシントン州・オレゴン州が主な産地です。

オセアニア

オセアニア地方のオーストラリアとニュージーランドは、ホップ産地の新世界として2000年代から頭角を表しています。

オーストラリアとニュージーランドはワインの国とのイメージがあるかもしれませんが、イギリスやドイツの入植者が多いという歴史的背景があるためビールづくりやパブの文化などが暮らしに根付いています。

このオセアニア地方で栽培されるホップは、アメリカ産ホップのような華やかかつ清涼感のある香りが特徴です。

トロピカルフルーツのフルーティーさに加え、ライムやマスカット、そして白ワインなどを思わせるような爽やかさを感じる品種が多く開発されています。

日本

我らが日本でもホップは栽培されています。

日本ホップの生産地は東北地方が全体の95%以上を占めており、特に岩手県や北海道での栽培が盛んに行われています。

生産量こそは世界の国々と比べて大きく引き離されていますが、日本ならではの固有のホップ品種もいくつか有しています。

国産品種としては「ソラチエース」や「信州早生」などが有名で、特にソラチエースは海外に渡ってから大きく評価されるようになった個性的な品種です。

しかしながら、生産者の高齢化や後継者不足によって国産ホップの生産量は減少し続けているという現状があります。

国産ホップの生産を絶やさないためにも、キリンビールやサッポロビールなどの大手のメーカーは国産ホップを盛り上げるための取り組みを行っています。

クラフトビールで人気のホップ品種10選

次にクラフトビールシーンで注目を集めているホップ10品種をご紹介します。

今回はどれも特徴的な香りのあるホップをチョイスしました。今後のビール選びの参考になると思いますので、ぜひチェックしてみてください!

※α酸とは…ビールの苦味成分。α酸の含有量が多いほどビールに苦味を与えやすくなります。

シトラ

シトラは強い柑橘系の香りを持つ人気のホップ品種です。

グレープフルーツやライムなどの爽やかさが際立ちますが、トロピカルフルーツのニュアンスもありフルーティーな香りが非常に強く感じられます。

α酸の数値も高く、しっかりとした良質な苦味も持ち合わせている点も特徴です。

現在のアメリカンホップの代表格であり、アメリカ国内外の多くのブルワリーで使われています。

原産地アメリカ
α酸11~13%
香りグレープフルーツ・ライチ・パッションフルーツ・グーズベリー

モザイク

多彩な香りが楽しめる人気のホップ品種です。

モザイクホップの名前は、そのバラエティ豊かな香りがモザイク画のようにきれいに組み合わさっていることに由来しています。

柑橘系に加えてトロピカルフルーツや花、スパイスなどの香りが感じられ、複雑かつ華やかなアロマがあります。

苦み成分も多く含み苦味付けにも使えますが、特に香りの豊かさが特徴ですのでドライホッピング(ホップの香りのみを抽出する技術)に適しているホップです。

原産地アメリカ
α酸11~14%
香りグレープフルーツ・赤いベリー・マンゴー・パパイヤ・薔薇

アマリロ

オレンジを思わせるような香りが特徴のアメリカンホップです。

柑橘系の香りが強く感じられ、中でもオレンジやみかんのようなほのかに甘さを感じる優しいアロマがあります。

他のホップはレモンやグレープフルーツなどのキリリとした柑橘の香りがありますが、オレンジ系のマイルドな柑橘の香りを持っているのがアマリロの特徴と言えるでしょう。

さっぱりとしたビールにも優しさを与えてくれるようなホップです。

原産地アメリカ
α酸8~11%
香りオレンジ・タンジェリン・グレープフルーツ・アプリコット

シムコー

華やかさと落ち着きのある香りが共存したホップです。

高いα酸があるため苦味付けのホップとして使われていますが、ユニークなアロマにも近年注目が集まっています。

パッションフルーツや柑橘系の爽やかさと、木や土の香りなど大地を思わせるようなリラックスできるアロマが特徴です。

原産地アメリカ
α酸12~14%
香りパッションフルーツ・ベリー・松・柑橘・大地

チヌーク

ホップ独特の青々しさが堪能できる品種です。

松の葉のような清涼感のある香りや、わずかにオイリーでクセのあるホップ樹脂の香りが感じられます。

その他には柑橘やスパイスのニュアンスも感じられ、クセがありながらも全体的には爽やかな印象です。

α酸の量は多く質も良好なため、チヌークを使ったビールは深みのある香りと味わいになります。

原産地アメリカ
α酸12~14%
香り松・ホップ樹脂・スパイス・グレープフルーツ

センテニアル

強い爽やかさと華やかさを兼ね備えたホップです。

センテニアルはアメリカのクラフトビールを世界に流行させたホップ品種「カスケード」のパワーアップバージョンで、別名「スーパーカスケード」とも呼ばれます。

グレープフルーツを思わせるような鮮烈な香りや、フローラルな上品さも持ち合わせています。

もちろん苦味もしっかり効いており、アメリカンペールエールやIPAと相性抜群!

原産地アメリカ
α酸9~12%
香りグレープフルーツ・レモン・花

ギャラクシー

オーストラリア原産の爽やかさが抜群なホップです。

グレープフルーツやレモンなどのシトラス、パッションフルーツなどの南国系の香りが豊かに感じられます。

華やかさが強調されていますが、煮沸することで大地のようなアロマも現れるのも特徴です。

IPAやペールエールなどのホップを効かせたスタイルによく使用されているホップです。

原産地オーストラリア
α酸11~16%
香り柑橘・パッションフルーツ

ネルソン・ソーヴィン

白ワインのような香りが感じられるニュージーランド原産のホップです。

このネルソン・ソーヴィンが栽培されるマルボロという産地は、ニュージーランドでも有数の白ワイン産地として知られています。

そこでは「ソービニヨン・ブラン」というワイン用の白ぶどうが栽培されており、ネルソン・ソーヴィンにはこの白ぶどうに似た香りを感じることができます。

フレッシュな白ワインのような香りに加えてトロピカルフルーツや柑橘系のアロマもあり、はつらつとした風味が楽しめる人気のホップです。

原産地ニュージーランド
α酸12~13%
香り白ワイン・パッションフルーツ・ライチ・ベリー

モトゥエカ

華やかな香りに特化したニュージーランド原産のホップです。

シトラスとトロピカルフルーツの香りが強く、心地よいアロマに癒されます。甘さだけでなく、グリーンを感じるような清涼感のあるフルーティーさがあります。

モトゥエカの名前は原産地の近くを流れる川の名前から取っているそうです。

原産地ニュージーランド
α酸6~9%
香りレモン・ライム・メロン・パイナップル

ソラチエース

日本生まれのユニークな香りを持つホップです。

北海道・空知で生まれたこのホップは、独特の香りがあることから日本ではあまり受け入れられずアメリカに渡ったことで評価された品種です。

香りはレモングラスやハーブ、ヒノキの木など、他のホップとはひと味違う要素を持ち合わせています。

日本原産のホップですがなかなか特徴的な香りがあるので、クラフトビールファンの方なら一度は飲んでみることをおすすめします!

原産地日本
α酸12~15%
香りレモン・ライム・ハーブ・ヒノキ

ホップの個性を楽しめるオススメのクラフトビール10選

最後に、ホップの個性が特徴的なクラフトビールをご紹介します。

前述したホップ品種の中で気になったものがあれば、ぜひそのホップを使ったビールを飲んでみてください!

BrewDog「PUNK IPA」

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スコットランド発の大人気IPAです!
柑橘系やトロピカルな香りとともに感じる鮮烈な苦味が感じられ、この巧みに引き出されたホップの個性に世界中の人々が熱狂しています。

使用ホップ品種チヌーク・シムコー・アマリロ・ネルソン・ソーヴィン ほか

ストーン「IPA」

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アメリカンIPAを代表する超人気の銘柄です。
強烈な苦味がありながらもフレッシュで爽やかな香りがあり、飲むものをホップの虜にさせます。

使用ホップ品種センテニアル・チヌーク・モトゥエカ・マグナム ほか

Y.MARKET BREWING 「パープルスカイペールエール」

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クリアで爽快な味わいのペールエールです。
透明感のある後引かない苦味と、柑橘やパッションフルーツの爽やかな香りを感じることができます。

使用ホップ品種シトラ

ヤッホーブルーイング「インドの青鬼」

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力強いホップの苦味と香りが感じられるIPAです。
ガツンとくる苦味とそれを支えるモルトの厚みがあり、柑橘類や青草のような爽快な香りがキリリとした印象をビールに与えます。

使用ホップ品種センテニアル・チヌーク・モトゥエカ・マグナム ほか

伊勢角屋麦酒「ねこにひき」

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ホップの香りが爆発したヘイジーIPAです。
トロピカルフルーツの香りがこれでもかと詰まった、ジューシーでフルーティーな味わいが味わえる人気作!

使用ホップ品種シトラ・シムコー・モザイク・アマリロ・エクイノックス

常陸野ネストビール「モザイクホップラガー」

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フルーティーな香りを立たせたラガータイプのビールです。
ゴクゴクと飲めるようなすっきりとした味わいに、フルーティーな香りが合わさってさらに飲みやすい仕上がりに。

使用ホップ品種モザイク・アマリロ

グランドキリン「ホワイトエール」

ネルソン・ソーヴィンの華やかさをふわりと感じるホワイトエールです。
上品な白ワインのような風味が感じられ、心地よいフルーティーさとなめらかな口当たりを楽しむことができます。

使用ホップ品種ネルソン・ソーヴィン

J-CRFT HOPPING「ジューシーIPA」

ジューシーな甘味とホップフレーバー溢れるヘイジーIPAです。
口当たりは非常に滑らかで、トロピカルフルーツを丸かじりしたかのような南国感をしっかりと感じられます。

使用ホップ品種モザイク・ギャラクシー ほか

ボイジャーブルーイング「スラスター」

ホッピーで飲みやすい軽やかなセッションエールです。
非常に軽い口当たりですが、ふんだんに使われたアメリカンホップの香りが豊かに広がります。

使用ホップ品種シムコー・シトラ・ローラル

サッポロビール「SORACHI 1984」

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ソラチエースを100%使用したジャパニーズクラフトビールです。
ヒノキやレモングラスなどソラチエースならではの個性的な香りをじっくりと堪能することができます。

使用ホップ品種ソラチエース

まとめ

今回はクラフトビールブームで大注目されているホップの品種についてご紹介させていただきました。

ワインの世界におけるブドウのように、ホップは産地や品種によってビールに様々な個性を与えます。次に飲むビールを選ぶ際には、ホップの品種に注目して選んでみてはいかがでしょうか?

また、ビールをテイスティングしながらホップの品種を考えるのもおすすめです。

「柑橘やトロピカルフルーツのいろいろな香りを感じるからモザイクホップが使われてるのかな?」
「このオレンジのような甘い柑橘の香りがするということアマリロホップを使っているはず!」

このように、ホップの品種を知ることでビールのテイスティングをより楽しく行うこともできちゃいます。

いつものビールをもっと美味しく楽しく飲むためにも、まずはあなたのお気に入りのホップを見つけることから始めてみてはいかがでしょうか?

ちなみに私は日本生まれのソラチエースが好きです!あの独特なエスニックな感じの香りがクセになるんですよね~

それではまた!

熊倉
この記事を書いた人
熊倉
1993年生まれ、酒屋勤務、新潟市在住。いろいろお酒を飲むけどいつもビールに戻ってくる。セッションIPAを水筒に入れて持ち歩きたい。大衆酒場が好き。
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