セゾンビールとは?味わいの特徴やオススメの銘柄を紹介します

セゾンビールとは?味わいの特徴やオススメの銘柄を紹介します

こんにちは!
野外で飲むと美味しさ5割り増しになることに気づいたCRAFT BEER TIMES編集部の熊倉です!

皆さんご存知の通り、汗をかいたあとに飲むビールほど最高な飲み物はないですよね。
私は仕事終わりの一杯のために毎日汗水を流して働いていますが、実は「仕事をしながら飲むためにつくられたビール」が存在するのをご存知でしょうか。

それがセゾンです。

セゾンはベルギーの農村地方発祥のビアスタイルで、農作業中に飲むためにつくられたことが発祥のビールです。

小さな農家で生産されていたビールですので個性的なものが多く、日本でいうところの「地ビール」に通じる側面も持っています。

ということで今回はこのセゾンというビアスタイルについて解説していきます!

セゾンは伝統的なローカルビールでもありますが、クラフトビールの中で注目の集まっているビアスタイルでもあります。

  • セゾンってどんなビール?
  • なんで醸造所によって味が変わるの?
  • おすすめのセゾンを知りたい

上記のような疑問にお答えする内容となっておりますので、是非ご覧ください!

セゾンの概要

セゾンの概要

セゾンはベルギー南部のワロン地方発祥のビアスタイルです。
上面発酵タイプのエールビールで、穀倉地帯であるワロン地方エノー州の多くの農村でつくられていました。

セゾンとはフランス語で「季節」を意味します。
セゾンビールは農場で働く労働者が、夏の農作業の間に水代わりに飲むものとして発達した歴史があります。中世のヨーロッパでは清潔な水の確保が難しく、発酵をさせたビールのほうが生の水よりも安全だとされていました。農作業シーズンが始まる前の冬から春先にかけてセゾンは仕込まれます。

ワロン地方の農村ではそれぞれ独自のセゾンがつくられ、そのセゾンを報酬の一部として労働者を募集することもありました。評判の良いセゾンをつくる農場は労働者からも人気があり、そのことからセゾンはファームハウスエールとも呼ばれます。

セゾンは何世紀も前からベルギーの地ビール的な位置づけでつくられ続けてきましたが、1980年代頃からアメリカをはじめとするクラフトビールブームによって注目を浴びるようになります。
「自分たちのオリジナルのビール」というセゾンの特徴が、現代のクラフトビールの精神とマッチし、セゾンをつくるブルワリーが各地で増えています。

セゾンの特徴

セゾンの特徴

セゾンはベルギーの農村部で生まれたビールだということがわかりました。
それではこのセゾンにはどのような特徴があるのでしょうか?
次にセゾンの特徴をチェックしていきましょう。

醸造所によって個性が異なるビール

セゾンはベルギーの小規模な農家によって自家製でつくられていました。
農家の数だけセゾンの種類はあるので、セゾンの定義はコレだ!というものは無く実にあいまいです。
農作業の合間に飲むビールとしての役割を持ったビールですので、水のような飲みやすさがあるという点は共通していますが、それ以外の特徴は作り手によって変わります。

例えばアルコール度数は4~8%代と幅広く、色調は黄金色やオレンジ、中濃色のものもあります。
このような個性の違いがセゾンの人気のひとつであり、現代のクラフトビールシーンから注目されている点です。

ドライで爽やかな味わい

セゾンは水代わりとして飲むビールとして作られたため、味わいは甘さが少なく、さらりとした飲みやすい仕上がりに設計されます。

また、セゾンには酸味が感じられることが多いです。
春先に仕込まれたセゾンは、冷蔵庫の無い当時は農場の納屋などに保管されていました。
農場の納屋はご想像の通り、多くの微生物が存在しています。それらの微生物がビールに入り込んで活動をすることで、酸味がもたらされるのです。
また、原料に小麦が使われることも多く、これも味わいに酸味を与える要因となります。

適度な酸味はビールにより爽やかさを与えるとともに、防腐効果を上げる効果を持っています。
現在のビールづくりにおいてはこのように微生物がビールに入り込むことがないよう醸造プロセスが組まれますが、伝統のセゾンへのリスペクトや清涼感を出すためにあえて酸味を出している現代のセゾンもあります。

ホップやスパイスが効いた華やかさ

春先に仕込んだセゾンは暑い夏の間に消費されます。
冷蔵庫の無かった時代には防腐対策として、ホップやスパイスをビールに添加していました。
その結果として、セゾンにはホップやスパイスの華やかな香りが付くのです。
スパイスは、コリアンダー、クミン、果実の皮など様々なものが使われていました。

現代のセゾンは防腐目的ではなく、独自性を出す意味として副原料が使われています。
例えば地元産の果物や、自家栽培のホップやハーブなどを使っているブルワリーがあります。中には樽熟成をほどこしたセゾンもあります。

【小話】セゾンの親戚 ビエール・ド・ギャルド

セゾンの親戚 ビエール・ド・ギャルド

セゾンの近縁に「ビエール・ド・ギャルド」というフランスのビアスタイルがあります。

ビエール・ド・ギャルドとは、ベルギーと隣接するフランス北東部で生まれたビールです。
フランスといえばワインの国ですが、北東部は冷涼な気候のためブドウ栽培には向かない半面、大麦やホップには適した環境であったためビールづくりが行われていました。

ビエール・ド・ギャルドはフランス農村部で春先につくられ、夏の間に消費されるという点でセゾンと似た点を持っています。味わいもセゾンと共通した部分を持ちますが、アルコール度数が6~8%と強めで、モルトの風味が豊かな中濃色タイプという特徴を持っています。木樽で熟成させることも多く、ワインのような複雑な香りもあります。
ちなみにビエール・ド・ギャルドとは、「保存する(ギャルド)ビール(ビエール)」という意味です。

ワイン大国であるフランスですが、実はこんな個性的なクラフトビールを持っていることをご存知でしたか?
ビエール・ド・ギャルドはなかなか日本のクラフトビールシーンでも見かけることの少ないレアなビールですので、もし見かけた際には飲んでみてくださいね。

CRAFT BEER TIMES編集部がオススメするセゾン5選

さあ最後はCRAFT BEER TIMES編集部が厳選したオススメのセゾンをご紹介いたします。
それぞれはっきりと違いがわかるものチョイスしたので、醸造所の個性をぜひともお楽しみください!

1. デュポン醸造所「セゾンデュポン」

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セゾンビールのお手本とも言える本家ベルギーのブランド。
豊かなフルーツの香りと、滑らかでスカッとした味わいが喉の渇きを癒してくれます。

2. 京都醸造「一期一会」

ベルギー酵母とアメリカンホップのテイストが混ざりあうセゾン。
ホップと酵母由来の香りがとても豊か。ドライでフレッシュ、そして適度な苦味もあるバランスの取れた味わいです。

3. 常陸野ネストビール「セゾン・ドゥ・ジャポン」

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米麹・柚子果汁を使った和テイストな仕上がりのセゾン。
独特な甘い風味の麹と、爽やかな柚子の香りがユニークです。

4. 志賀高原ビール「ベイビーブロンドミヤマ」

自社栽培の酒米「美山錦」を使用した日本式のセゾン。
ドライな中にもほのかな甘さある、食中酒向けのビールです。

5. ヨロッコビール「Peninsula Saison」

上品な華やかさが際立った素晴らしい香りのセゾン。
ヨロッコビールのある神奈川県の三浦半島産の生小麦が使われた、フレッシュで飲み飽きしない仕上がり。

まとめ

今回はベルギー農村地方発祥のセゾンについて解説をさせていただきました。
いかがでしたか?

最後に今回の記事のまとめです。

  • セゾンはベルギー南部の農村地域で生まれたエールビール
  • 夏の農作業の合間に水代わりとして飲まれるビールで、農家によって様々なセゾンがつくられていた
  • 現代のセゾンは醸造所の個性や地元の特産品を活かした、より「地ビール」に近いものがつくられている。

セゾンのさっぱりとしたドライな味わいは、私たちの喉の渇きを癒してくれます。

現代社会では労働しながらお酒を飲むということはなかなかありませんが、もし仕事中にセゾンが飲めたらその味は格別なんでしょうね(笑)

仕事終わりのひと時や、趣味の家庭菜園やDIYの合間にセゾンを飲んでみてはいかがでしょうか?スカッと気持ちよくなれるはずですよ〜!

それではまた!

熊倉
この記事を書いた人
熊倉
1993年生まれ、酒屋勤務、新潟市在住。いろいろお酒を飲むけどいつもビールに戻ってくる。セッションIPAを水筒に入れて持ち歩きたい。大衆酒場が好き。
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