ヴァイツェンとは?その特徴や種類、オススメのビールを紹介します

ヴァイツェンとは?その特徴や種類、オススメのビールを紹介します

熊倉
熊倉

こんにちは!
家の鍵のキーホルダーを栓抜きにしたら生活の質が爆上がりしたCRAFT BEER TIMES編集部の熊倉です。

突然ですが、あなたは白ビールはお好きですか?
私はとても好きです。

白ビールとはすなわち小麦が使われているビールのこと。
あの白ビール特有のまろやかな味わいっていいですよね。

そんな白ビールの代表格と言えばやはりヴァイツェンでしょう。

こんもりと盛り上がった白い泡とフルーティーで苦味の少ない味わい…
今までビールは苦くて飲みにくいものと思っていたけど、ヴァイツェンを飲んでその考えが変わったという人も多いのではないでしょうか?

というわけで、今回はクラフトビールの中でも随一の癒し系ビールであるヴァイツェンの解説をしていきたいと思います。

  • ヴァイツェンってどんなビール?
  • なんでこんなに飲みやすいの?
  • おすすめのヴァイツェンが知りたい!

このような疑問を解決する記事となっておりますので、ぜひご覧ください!
それでは参りましょう。

ヴァイツェンとは

ヴァイツェンはドイツ南部のバイエルン地方で生まれた小麦を使ったエールビールです。

白ビールを代表するビアスタイルで、原料の麦芽のうちの50%以上に小麦麦芽が使われています。
ヴァイツェンの発祥の地であるドイツ・バイエルン地方では昔から親しまれており、歴史は古いながらもその人気は現代になっても衰えていません。

一時はヴァイツェンの人気が高まりすぎて小麦不足になった歴史があったほどで、ドイツでビールの原材料を大麦・ホップ・水・酵母に制限する「ビール純粋令」が定められたのは、ヴァイツェンの製造を制限することで食用の小麦を確保することが目的であったとも言われています。

ヴァイツェンはドイツ語で「小麦」を意味しており、ドイツではヴァイツェンに限らず小麦が使われたビールは「白」を意味する“ヴァイス”ビールと呼ばれています。
ちなみに、小麦ビールの英語圏での総称は「ホワイトエール」または「ウィートエール」です。

ヴァイツェンの特徴

では、そんなヴァイツェンにはどのような特徴があるのでしょうか?

ヴァイツェンの大きな特徴を3つまとめてみました。

  1. バナナとクローブの香り
  2. 苦味の少ない滑らかな口当たり
  3. 豊かな泡立ち

これらの特徴についてそれぞれ解説していきたいと思います。

1. バナナとクローブの香り

ヴァイツェンの最も大きな魅力とも言えるのが、バナナを思わせる甘い香りとクローブのようなスパイシーな香りです。

このヴァツェンの代名詞ともいえる特殊な香りは酵母によって生み出されます。
ヴァイツェン酵母という特殊な酵母が、あのフルーティーで少しスパイシーな香りをつくっているのです。ちなみにこれら酵母から生まれる香りはエステル香とも呼ばれます。

バナナの香りはほとんど全てのヴァイツェンに感じることができます。バナナの香りをもう少し具体的に話すと、青いバナナの皮と実の間のようなフレッシュな甘い香りをイメージしていただけると分かりやすいかと思います。

クローブとはスパイスの一種で、バニラのような甘さと爽やかなスパイシーさを持ち合わせています。バナナの香りに比べて主張は控えめです。

2. 苦味の少ない滑らかな口当たり

ヴァイツェンには白ビールならではの苦味が抑えられた滑らかな口当たりがあります。

使用されるホップの量が少ないため苦味は控えめになり、小麦が多く使われることで小麦の持つタンパク質がまろやかな口当たりを生み出します。
特にヴァイツェンは白ビールの中でも小麦の使用比率が高く、シルクのようなスムーズな飲み心地を持っています。

では、タンパク質はなぜ滑らかさを生むのか?
それについては、タンパク質が豊富な牛乳や豆乳の口当たりを想像してもらえば「なるほど!」と感覚的にわかって頂けるはずです。

もう少し補足すると、タンパク質はビールの中では比較的大きな成分であるため、食感に特徴を与えます。
ピルスナーのようなラガービールはタンパク質の含入量が少ないため引っかかりのないさらっとしたのど越しですが、ヴァイツェンはこのタンパク質のおかげでわずかにトロっとした食感が感じられるのです。

3. 豊かな泡立ち

ヴァイツェンにはとても豊かな泡立ちがあります。
グラスに注ぐといともたやすく泡は形成され、非常にキメの細かい滑らかな純白の泡がつくられます。
その泡の持続が長いことも特徴の一つで、ビールを飲み干す最後までクリーミーな泡を楽しむことができます。

この泡の秘密は、ヴァイツェンに多く使われている小麦に秘密が隠されています。

小麦は大麦と比較してタンパク質を多く含むビールの原材料です。
ビールの泡がどのようにできているかをざっくり説明すると、炭酸ガスをタンパク質とホップの苦み成分がコーティングしてできている、といった感じになります。このタンパク質はビールの泡を形成する成分の一つであるため、タンパク質の含有量が多いヴァイツェンは泡立ちがいいのです。

また、ヴァイツェンは炭酸ガスの量が多めに設定される場合がほとんどです。
その理由は、タンパク質が生み出す滑らかな口当たりに対して、炭酸の量を強めることで食感のバランスを取ることにあります。
ヴァイツェンがマイルドな口当たりながら爽やかさも兼ね備えているのは、この強めの炭酸ガスのおかげなのです。

そしてもちろん、炭酸ガスの量は多いほど泡立ちは良くなります。
豊かに含まれた炭酸ガスとタンパク質の2つが、ヴァイツェンの豊かな泡をつくっているのです。

ヴァイツェンの種類

ここまで読み進めて頂けたのなら、ヴァイツェンとはドイツ発祥の伝統的なビアスタイルで、小麦を使ったフルーティーでまろやかなビールであることがお分かり頂けたかと思います。

そんなヴァイツェンですが、実はヴァイツェンの中にもさらに細かい分類があるのです。
ここではそのヴァイツェンの種類についてそれぞれご紹介します。

ヘーフェ・ヴァイツェン

ヘーフェヴァイツェンとは、酵母が入った無濾過のヴァイツェンです。
「ヘーフェ」とはドイツ語で酵母を意味します。

酵母入りのヴァイツェンの特徴はなんといっても強い濁りです。
酵母はタンパク質よりもさらに大きな成分であるため、一般的にかすんでいるヴァイツェンの外観をさらに濁らせることとなります。

また、酵母入りのビールは香りが強いという特徴もあります。酵母の持つ独特の風味がそのままビールに残るため、濾過されたものよりも強い芳香を放ちます。

ヘーフェヴァイツェンを飲む場合には、開栓前にゆっくりと瓶を回して酵母をしっかり混ぜてから飲みましょう!酵母の風味を余すことなく味わうことができます。
もしくは、まず最初に酵母を混ぜずにクリアな上澄みだけを楽しみ、後から酵母を混ぜて味の変化を楽しむのも良いでしょう。

クリスタル・ヴァイツェン

クリスタル・ヴァイツェンとは、酵母を濾過したクリアなヴァイツェンです。
ヘーフェヴァイツェンとは対照的に、濁りの少ない澄んだ黄金色をしています。

濾過によって酵母を取り除かれることで、香りや口当たりがすっきりとしたフラットな味わいとなります。ゴクゴクと飲みたくなるヴァイツェンです!

デュンケル / シュバルツ・ヴァイツェン

デュンケル / シュバルツヴァイツェンは、濃色タイプのヴァイツェンです。
ドイツの濃色ラガービールのスタイルである「デュンケル」と「シュバルツ」を、ヴァイツェンと掛け合わせたスタイルとなります。
ちなみにデュンケルは中濃色、シュバルツは黒色のビールです。

濃色モルトが使われるため、色は濃く、香りにはカラメルやチョコレートのニュアンスが加わります。
ヴァイツェン特有のバナナの香りはロースト香とも相性が良く、バナナの香りは芳醇で深みのある香りへと変化します。味わいも力強さが増し、パワフルな味わいのヴァイツェンです。

ヴァイツェン・ボック

ヴァイツェン・ボックは、飲みごたえのあるハイアルコールのヴァイツェンです。
こちらもドイツ伝統のラガービールである「ボック」との掛け合わせによって生まれたヴァイツェンの派生スタイルで、ヴァツェンをギュッと濃縮したような特徴を持っています。

ボックにコクのある味わいと濃厚なフルーツの香りがあるように、ヴァイツェンボックからはヴァツェンの特徴である小麦の風味と酵母のバナナ香を非常に強く感じます。
カラメル香も感じられることもあり、アルコールの高さも相まってフルボディなヴァツェンを楽しむことができます。

CRAFT BEER TIMES編集部が選ぶオススメのヴァイツェン5選

それでは最後にオススメのヴァイツェンをご紹介いたします!

今回は日本のクラフトビールブルワリーが作るヴァイツェンを中心にピックアップしてみました。
日本はドイツビールの影響を色濃く受けているため、国産のヴァイツェンは意外にも種類が豊富です。

どれも素晴らしいヴァイツェンなので、気になるものがあったら是非飲んでみてください!

富士桜高原麦酒「ヴァイツェン」

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国産ヴァイツェンの決定版!
豊かなバナナの香りと絹のような滑らかな舌触りが最高に美味しいヴァイツェンです。

エチゴビール「ホワイトエール」

すっきりタイプのヴァイツェン。
濁りは控えめで、程よい酸味とさらりとした口当たりが特徴的です。

箕面ビール「ヴァイツェン」

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角のないまろやかな甘味のヴァイツェン。
バナナの甘い香りと小麦の穀物感に優しく包まれます。

富士桜高原麦酒「シュヴァルツ ヴァイツェン」

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甘さと香ばしさを兼ね備えたシュバルツヴァイツェン。
複雑な香りと香ばしくもキレのある味わいのバランスが素晴らしいです。

Y.MARKET BREWING「Nachtmusik」

ワイマーケットブルーイング ナハトムジーク 缶 350ml

力強さのあるホッピーなヴァイツェンドッペルボック。
ハイアルコールかつホップの香りを立たせた仕上がりで、ヴァイツェンの概念を越えた意欲作です!

まとめ

今回は白ビールの代表格であるヴァイツェンについて解説をさせていただきました。

下記、今回の記事のまとめとして覚えておいてほしいポイントです。

  • ヴァイツェンはドイツ南部のバイエルン地方で生まれた白ビール
  • 小麦が多く使われているため、滑らかな口当たりと豊かな泡立ちがある
  • ヴァイツェン酵母によるバナナの甘い香りとクローブのスパイシーな香りが特徴
  • ヴァイツェンには種類がいくつかあり、濾過や使う麦芽の種類によってタイプが変わる

小麦の柔らかさとバナナの香りが特徴のヴァイツェンは、クラフトビールブームの中でも特に初心者や女性に人気のビアスタイルです。

近年ではIPAなどのホッピーなビールの流行から、ホップがふんだんに使われたヴァイツェンも出てきています。

ヴァイツェンは歴史ある伝統的なドイツビールですが、クラフトビールの流行によってさらなる進化を遂げている最中です。
今やクラフトビールマニアにとってもヴァイツェンは見逃せないカテゴリとなっています。

小麦の優しさに癒されたくなったときには、ぜひヴァイツェンを選んでみてくださいね。

それではまた!

熊倉
この記事を書いた人
熊倉
1993年生まれ、酒屋勤務、新潟市在住。いろいろお酒を飲むけどいつもビールに戻ってくる。セッションIPAを水筒に入れて持ち歩きたい。大衆酒場が好き。
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